ラムのラブソングのデモをアップしました

 音楽 SNS の Nana にラムのラブソングのデモテープをアップしました。

 このデモテープは1981年の初夏くらいに、うる星やつらのテレビ放送が準備される中、作曲者の小林泉美(ミミ)ちゃんが作った最初のデモです。

 なので、まだ歌詞が違っていたり、スキャットだけの部分も多々あります。

 これをディレクターの早川氏に渡されて「Op テーマはこういうので行こうと思うんだよね」と言われ「え? でもラムちゃんとか、あたるって言葉も、だっちゃなんて言葉も入ってなくて大丈夫なの?」なんて心配したものです。

 当時のアニメのテーマ曲には「アッラレ〜ちゃん〜」なんて必ずアニメの内容に関する言葉が入っていたわけですね。

 それに曲もラテン系だし、これにシンセでテクノの要素を足そうってんだから、本当にいいの? ってなったわけですね。

 で、このテープを受け取って、ミミちゃんとシンセをどうするか? の打ち合わせをしました。テクノっぽいアレンジにするにはどんな感じにするのがいいか? って話になり、私としては YMO なんかがやってる16分音符で細かく刻む高域のオクターブの繰り返しとか、一定パターンのリズムで動くオスティナートは同音は出来るだけ保続して変化する音程をクリシェみたいな感じ動かしてくと気持ちいい、みたいな話しをした覚えがあります。

 同音保続とかクリシェは音楽用語系のサイトを参照してね。

 その結果アップして来たのが、以下のような譜面なわけです。



 レコーディングは私の持ち込んだ System-700 や、ミミちゃんの Prophet-5、それに Linn ドラムや TR-808 とかを使っていて、シーケンスは MC-8 でやっています。Linn ドラムは世界で最初のデジタルドラムで、日本ではミミちゃんがアメリカから持ちこみ、このラムのラブソングのレコーディングが日本最初の使用となりました。

 MC-8 と Linn のシンクが中々うまく行かなくて苦労しました。

 あと、この頃のキティのアニメのレコーディングは東京だと中目黒にあった KRS(現青葉台スタジオ)、長期滞在録音だと伊豆キティスタジオで行なっていましたが、その頃の KRS は夏になると目黒川が氾濫して溢れた川の水がスタジオに流れ込んで大変な状態になる事がしばしばありました。

 このうる星のレコーディングも夏だったので、スタジオの入り口に土嚢を積んで、スタッフが泊まり込みの見張り番をするというような事が結構ありました。

 キティの本社は当時、大橋にあったんですが、ここはポリドールレコードと共用の建物だったんだけど、こちらは目黒川のすぐ脇にあり、しかも駐車場が半地下だったため、川が氾濫してポリドールの社長のベンツが水に流されて浮き上がり、駐車場の天井にぶつかりまくって、屋根がベコベコにへこんでしまう、なんて珍事件もありました。

 ラムのラブソングは世代を超えたヒットになったわけですが、レコーディングしてる時は、そんな事わかりませんよねえ(当たり前か)。後になって「ヘェ〜、なんか歴史的なレコーディングに参加しちゃったんだねえ」なんて思い出したりするもんです。

 その後、ミミちゃんは日本の商業主義が合わず海外に飛び出して、デペッシュモードでシンセを弾いてたり、レゲエなカッコでオーケストラをやるレゲエ・フィルハーモニー・オーケストラに参加したりと活躍しています。

 5月26日に伊豆スタジオで行われた Otaku Spirit Sessions の時にも「明日イギリスに帰ってから BBC のインタビューがあって」なんて言ってました!


このブログの人気の投稿

箱根の駒ケ岳が廃墟じゃなかった頃

クラウドファンディングでイベントをやった